学会誌 VOL.13 No.1 March 2020
原著論文
Conditional Activation of Peripheral Sensory Nerves Induces anAversive State with the Down-regulation of Neural Functions of the Nucleus Accumbens | ||||||
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Takashige KONDO, Yusuke HAMADA, Daisuke SATO, Kenichi TANAKA Yoshiyuki YAMABE, Michiko NARITA, Sara YOSHIDA, Reiko KAGAWA Takaaki MIZUNO, Masumi IIZUKA, Haruna SHIMIZU, Kensuke YAMASHITA Tomohisa MORI, Akihiro YAMANAKA, Naoko KUZUMAKI, and Minoru NARITA |
Abstract: The mesolimbic dopaminergic network from the ventral tegmental area (VTA) to the nucleus accumbens (N.Acc.) has been shown to play a crucial role in the reward system. Although it has been documented that conditional activation of sensory nerves induces aversive behaviors, little is known about the mechanism of aversion induced by the sustained activation of peripheral sensory nerves. In the present study, we demonstrated that conditioned place aversion was induced by the conditional activation of sensory nerves via a Gq-Designer Receptors Exclusively Activated by Designer Drugs (DREADD) system. We found a dramatic decrease in the expression level of cAMP response element binding protein (CREB), an activated neuron marker, in the N.Acc. of mice with the conditional activation of sensory nerves. These results suggest that the aversive behavior associated with a decreased pain threshold could be induced by the conditional activation of sensory nerves through the attenuation of neural activity in the N.Acc. |
Key words: Sensory neuron, Pain, Aversion, cAMP response element binding protein (CREB), Nucleus |
がん性疼痛患者における強オピオイド鎮痛薬および NSAIDs併用療法の選択に影響する要因解析 |
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人見 可蓮、岸本 大裕、文 礼朗、酒井 繁彰、清海 杏奈、今井 志乃ぶ 田中 嘉一、杉浦 宗敏 |
[要旨] 強オピオイド鎮痛薬(SOA)が,投与されたがん患者に非オピオイド鎮痛薬(NOA: NSAIDs)の併用有無が影響する要因を解析した.2017 年 9 月から 2018 年 8 月に千葉県済生会習志野病院に入院した SOA ナイーブのがん性疼痛患者を対象とした.疼痛増強により,SOA の投与を開始した患者を NOA 非併用群と併用したNOA の種類によって,非選択的 COX 阻害薬併用群および選択的 COX2 阻害薬併用群の 3 群に分類した.患者背景は eGFR,化学療法の有無と原発がん種を除いて,3 群間に有意差は認められなかった.NRS および SOA 投与量の推移も,3 群間に有意差は認められなかった.患者背景をもとに NOA が併用された治療法をより強い治療法と仮定して順序ロジスティック回帰分析による治療法選択の要因を解析したところ,化学療法有(オッズ比 0.10,p = 0.01)および eGFR(オッズ比 1.03,p = 0.03)が有意な関連要因であった.本解析から,腎機能障害のある患者および化学療法を行う患者は SOA のみによる治療法が選択されていることが示唆された. |
キーワード:オピオイド鎮痛薬,NSAIDs,NRS,順序ロジスティック回帰分析,治療法 |
短報
膵臓癌FOLFIRINOX療法におけるコリン様症状が ブチルスコポラミンの追加投与で軽減した2症例 |
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齋尾 真希、秦 英司、足立 美菜子、武田 洋平、長谷川 一将、島田 美樹 |
[要旨] イリノテカン塩酸塩による有害事象の一つであるコリン様症状に対し,抗コリン薬ブチルスコポラミンは適応外使用であるが,症状緩和に有用であることが報告されている.しかし,通常 10 ~ 20 mg の単回投与のみとなっていることが多く,その投与量や投与タイミングに対する検討は少ない.今回,膵臓癌 FOLFIRINOX 療法において難治性のコリン様症状を経験し,ブチルスコポラミンの追加投与により症状緩和に至った 2 症例について報告する. |
キーワード: イリノテカン塩酸塩,コリン様症状,FOLFIRINOX |
ヒドロモルフォンによるオピオイド誘発性痛覚過敏に対し メサドンにスイッチングを行い有効であった造血腫瘍患者の1例 |
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杉 富行、西上 泰生、才郷 博久、花井 誉、山本 英一郎 江川 健一郎、廣橋 猛、高畠 啓輔、萩原 政夫 |
[要旨] 筆者らは,高用量のヒドロモルフォンによるオピオイド誘発性痛覚過敏を疑った造血器腫瘍患者に対してメサドンにスイッチし,オピオイド必要量が著しく低下した症例を経験した.ヒドロモルフォンによるオピオイド誘発性痛覚過敏の報告は少ないが,高用量かつレスキュー投与で無効または増悪する場合はオピオイド誘発性痛覚過敏を疑い,メサドンへのスイッチングを行うことが有効な治療選択肢の一つであると考えられた. |
キーワード: ヒドロモルフォン,オピオイド誘発性痛覚過敏,オピオイドスイッチング |