学会誌 VOL.5 No.1 March 2012
原著論文
医療用麻薬投与中の終末期がん患者におけるGlutamine-Fiber-Oligosaccharide(GFO)投与の効果に関する臨床研究 |
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柴田 賢三,東口 髙志,伊藤 彰博,二村 昭彦,村井 美代 |
[要旨] Glutamine-fiber-oligosaccharide(GFO)療法は,消化管機能の正常化に有効とされている.今回,終末期がん患者に対する GFO の有用性を retrospective に検討した.医療用麻薬を経口投与した 70 例を対象に,GFO投与群(46 例)と非投与群(24 例)の 2 群に分け,経口摂取不能期間,血清アルブミン値,末梢血中総リンパ球数の推移,便秘治療薬使用割合および使用量を検討した.経口摂取不能期間は,投与群が非投与群に比し有意に短く,末梢血中総リンパ球数も,投与群が高値に維持していた.便秘治療薬の使用頻度は,投与群で有意に低率であり,使用量でも 2 品目で有意に少なかった.終末期がん患者に対する GFO 投与は,経口摂取不能期間の短縮,免疫能増強,便秘の予防・改善に有用であると考えられた. |
キーワード: GFO 療法,オピオイド,便秘,免疫能 |
フェンタニル貼付剤の粘着性に関する検討 -貼付試験と粘着性による評価- |
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大島 新司,間 祐太朗,細谷 治,長島 健悟,田中 享,佐野 元彦 太田 昌一郎,安野 伸浩,從二 和彦 |
[要旨] フェンタニル貼付剤は,その製剤学的特性から,経口摂取困難な患者や在宅緩和ケア領域で,持続痛をコントロールするのに非常に適した製剤である.貼付期間中の剥れや痒みは,除痛効果の低下や貼付部位の不快感を誘発する.しかしながら,それら使用感に関する報告はあまり多く見受けられない.今回われわれは,3 種類のフェンタニル貼付剤について,使用感(貼付時の感覚)調査および粘着性に関する研究を行った.フェントスⓇテープは,その高い粘着性のため剥離後の皮膚刺激感を与えることが示唆された.一方,デュロテップⓇ MT パッチおよびワンデュロⓇパッチの部分的な剥離や脱落は,それらの粘着性の低さが要因と考えられた.がん対策基本法施行以来,緩和ケアにおけるがん疼痛治療期間が長期に及ぶ傾向にあり,本研究結果は,患者のアドヒアランスの向上や適切な薬物療法の維持のために重要な情報を与えるものと考える. |
キーワード: フェンタニル貼付剤,使用感調査,粘着性,皮膚刺激感 |