年会案内・報告

第12回年会報告

第12回日本緩和医療薬学会年会の報告

2018年5月25日(金)・26日(土)・27日(日)の3日間、初夏のさわやかな天候のもと東京ビッグサイトTFTビルにて第12回年会を開催しました。 本年会は第1回以来の東京開催となりました。この11年の間で、緩和医療を取り巻く環境と、考え方について変化がありました。対象は、「がん疼痛」にとどまらず、「非がん」にまで広がりました。また「人生100歳時代」といわれる中、地域包括ケアシステムの構築が模索されています。全ての人が自らが望む場所で、あらゆる痛みから解放され、人生を積極的に生きていけるよう支えることが、緩和医療に取り組む私たちのミッションといえます。そこで、今年会のメインテーマは「いのちの輝きを支える」としました。

事前の参加登録は、2,300名を超え、招待者を含めると2,820名と、これまでの最多の参加者をお迎えすることができました。特に学生の参加者が155名と多かったことは学会の将来にとって頼もしいことです。 また、教育セミナーは事前登録時点で1,000名を超えたため、2か所のLIVE会場を設営した結果、1,242名にご参加頂き、これもまた過去最多となりました。

薬局薬剤師として初めて年会長を務める立場から、「地域を支える」ことを強く意識して様々なセッションを企画しました。 特別講演は昭和大学医学部医学教育学教授 宮有介先生に、教育講演は5名の先生方にご登壇頂きました。年会企画を含む27本のシンポジウム、4本のワークショップについても多くの方にご参加頂き、立ち見が出る会場もありました。一般演題では約300題の発表があり、各会場で活発な議論がなされていました。

また今回は、年会長特別企画として「こころに残る一症例」と題し、症例の共有を通して学びの場となるようなセッションを開催しました。本学会としては初めての企画でしたが、病院、外来、在宅の3つの部門からの各4人の演者による報告は、演者からも参加者からも大変好評でした。

多くの方に参加して頂けるよう学会場のTFTホールで実施した懇親会も、200名を超える方々に参加頂き、パラアスリートの土田和歌子氏を迎え、そのお話から生きることのパワーをいただきました。土田さんが会場をラウンドし、参加者と懇談してくださったことで、2020年東京パラリンピックが身近なものとなったように感じます。

さらに、市民公開講座を日曜日に組み込みメイン会場で開催したことも、この年会の新たな試みでした。料理人の笠原将弘氏、ソムリエの田崎真也氏を迎え、食を楽しみ、いのちの輝きを支えることについて講話頂きました。

緩和医療への関心は年々高まっています。薬剤師も遅れることなく、緩和医療に深くかかわっていくことが求められます。本年会が、今後の皆様の業務や研究を進めていくうえで、何らかのヒントとなることができていれば嬉しく思います。

最後になりましたが、新たな企画をいくつも盛り込んだ3日間の年会を無事終えることができましたのも、ご参加頂きました皆様、開催に際して企画や運営にご尽力頂きました実行委員長、プログラム委員長をはじめとした委員会委員各位、協賛を頂きました各企業、その他ご支援頂きました多くの皆様方のお陰と、心より御礼申し上げます。

トライアドジャパン株式会社 代表取締役副社長
第12回日本緩和医療薬学会 年会長
竹内 尚子

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