年会案内・報告

第11回年会報告

第11回日本緩和医療薬学会年会の総括

がん対策基本法の成立から10年が経過し第11回目となる本年会のメインテーマは、「次代を拓く!緩和医療薬学の新たな展開」と題し、関東以北で初めて北海道、札幌での開催である。第11回日本緩和医療薬学会年会は6月2日(金)〜4日(日)の3日間、札幌コンベンションセンターで開催された。
 年会に事前参加登録した人数は1,745名(会員1,324名、非会員359名、学生62名)、当日参加登録した人数は361名(会員103名、非会員219名、学生39名)で、招待者・協賛展示企業・プレス含め年会参加者総数は2,410名であった。また年会開催時好評の教育セミナーは、予定の事前募集定員800名を越え、理事会で審議いただき急遽LIVE会場を設営することで対応した。その結果、全登録者は1,008名(本会場807名+LIVE会場201名)となり、参加者の多さに改めて驚いた。
 基調講演は第9回日本緩和医療学会総会を2004年に札幌で開催された並木昭義(現小樽市立病院病院局長)に、特別講演は森田達也聖隷三方原病院副院長に、教育講演は5つ5名に、ワークショップ2つ、スポンサードワークショップ1つを企画した。また特別企画セッションを設け、歴代代表理事および新代表理事(3名)にご登壇いただき、本学会の過去・現在そして今後の展望について会員に紹介いただくこととした。シンポジウムは年会企画も含め25題および一般演題386題の多数の演題をいただいた。一般演題は例年にない多数の応募があったことから、これらを口頭発表64題、ポスター発表322題として受理した。余裕を持った会場と時間配分に心掛けたつもりであったが、一般演題が予想以上に多かったこともあり、従来2日間の会期中閲覧できたポスター発表は第1日目と第2日目に分けたため、少しでも会場の窮屈な思いを解消できたのではないかと考える。今回は口頭発表64題より1題、ポスター発表322題より5題の合計6題の優秀発表賞を選出した。
 従来のランチョン型セミナーを改め、共催企業によるプロモーション活動と講演(プログラム・要旨集に要旨あり)を連動させた新しいタイプの「メディカルセミナー」を企画し、共催企業や参加者からも大変好評であった。懇親会は北海道らしさを十分に味わってもらうためアトラクション付(J1コンサドーレ札幌チェアガール+よさこいソーラン平岸天神)で繁華街薄野のキリンビール園(中島公園店)で行った。事前参加登録者150名あまりを含め、276名の方々が集まって楽しく賑やかに盛大に行うことができた。また、年会プログラム・要旨集のアプリでの閲覧や託児室の設置も参加者に大変好評であった。
本年会の目的には、会員だけでなく市民・道民に対する緩和医療薬学の啓発活動がある。今回の道民公開講座には、「仏教から見た緩和ケア―医療チームに参加している僧侶の話―」と題し、浄土真宗本願寺派善福寺・長倉伯博住職に講演をして頂いた。利便性を考慮し札幌医科大学講堂で開催し、約200名の参加者があり長倉住職の講演に感激して帰られた。
 本年会を通じて、地域包括ケア時代に期待される次代の緩和医療薬剤師像についても理解を深めていただいた。年会開催に当たっては、年会長の独自性を出すこととも大切である。今回の年会で問題になったこと、十分に煮詰まらなかったところを次回の第12回日本緩和医療薬学会年会(東京)で取り上げることが望まれる。講師陣も熱のこもった講演をされ、参加者も大変熱心に聴講していた。緩和医療薬学に対する関心の大きさが窺えた。どの会場も参加者が多く、熱心な講演、発表、討論がなされ好評であった。

札幌医科大学医学部附属病院 薬剤部
第11回日本緩和医療薬学会年会長
宮本 篤

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