年会案内・報告

第1回年会報告

第1回日本緩和医療薬学会年会を終了して

日本緩和医療薬学会は平成19年3月24日に約600名の会員で設立された薬剤師を中心とする学会でありますが、この半年間で会員数は約1,600名に増加し、薬剤師の緩和ケアに対する関心の高さと本学会に対する期待の大きさが明らかになりました。一方、平成19年4月1日には「がん対策基本法」が施行され、日本緩和医療薬学会は本法と共に歩みだしたとも言えます。
がん対策基本法では「がんの予防」、「がんの治療」、「緩和ケア」を三本柱にし、居宅におけるがん患者に対するがん医療の提供のための連携協力体制の確保も盛り込まれており、緩和ケアの充実が種々の立場から図られています。

緩和医療において病院薬剤師は緩和ケアチームの一員として、また保険薬局薬剤師は居宅での薬物療法に携わり活動しています。一方、大学では緩和医療に用いられる薬物に関する教育や研究が広く行われており、企業では新薬の開発や学術情報の収集、提供を行っています。
これらの連携を目指すのが本学会の課題の1つであり、今回は「緩和ケアにおける薬(病院)・薬(薬局)・学(大学)連携の実践」をメインテーマとして第1回年会を開催しました。

開会式には厚生労働大臣舛添要一先生より祝辞を頂き、厚生労働省大臣官房審議官(医薬担当)黒川達夫先生に代読頂きました。

聖路加国際病院院長福井次矢先生には特別講演として「Quality Indicator:医療の質を測る」をご講演頂き、緩和医療の質をどのように測るか考えさせられました。また、プログラム委員会の努力により、教育セミナーを企画、実現できたことは会員のレベルアップに貢献できたとるものと確信しております。早朝からの教育セミナーにも関わらず長蛇の列が出来、関心の高さと向上心の強さに敬服しました。
教育セミナーには多くの参加申し込みを頂き、ご希望の方全員にご参加頂けなかったことをここでお詫び申し上げます。現在、DVD化を行っておりますので、学会ホームページ上でご案内申し上げます。
さらに、8題のシンポジウムでは緩和ケアに関する最新、且つ最先端のご講演 を頂き、各会場とも立ち見が出るような状況でありました。また、議論も活発で、1時間もオーバーした会場が出る程でありました。
そして、最も喜ばしいことは会員の皆様からポスター発表で180題もの演題をご発表頂いたことです。2日間にわたり、ポスター会場(体育館)は熱気に満ちあふれておりました。審査員の先生方のご協力により、優秀ポスター賞を11名の先生に授与させて頂きました。第1回年会の記念すべき受賞者の先生方には心よりお祝い申し上げます。

学会の運営面では評議員会および総会で2008年収支予算、投稿規定、「緩和薬物療法認定薬剤師」の認定要件、3つの常置委員会(教育システム検討委員会、法人化準備委員会および認定試験委員会)をお認め頂いた。したがって、来年から本学会の機関誌が発行されることになりますので、奮ってご投稿下さいますようお願い申し上げます。
また、「緩和薬物療法認定薬剤師」の認定要件が決定しましたので、会員の先生方には認定要件を満たすよう計画的に活動頂きたくお願い申し上げます。
これを受け、認定要件を満たすようそのサポートをするために教育システム検討委員会を新たに設けました。認定要件を満たした先生方には認定試験を受けて頂くことになります。
そこで、認定試験委員会も新たに設置を認めて頂きました。また、緩和医療薬学の基本を本学会で本にまとめ、認定試験、さらには6年制大学の教育にも使用できるに企画委員会で取り組んで頂いております。

最後に、第1回年会の企画、運営の行って頂きましたプログラム委員会(委員長亀井淳三教授)、年会運営事務局(事務局長成田年准教授)の先生方、さらにご協力頂きました星薬科大学薬物治療学教室および薬物毒性学教室の教室員の方々に心より感謝申し上げます。
また、実務を担当頂いた(株)毎日学術フォーラムと(株)ザ・コンベンションの方々に深謝申し上げます。

日本緩和医療薬学会理事長
第1回日本緩和医療薬学会年会長
鈴木 勉

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